加工性及び熱処理性に優れているβ型Ti合金のTiー21Vー4Al合金に対し、固相拡散接合及びTi基ろうによる液相拡散接合を行い、その基本的な接合性について検討した。その結果、Tiー21Vー4Al合金の固相拡散接合では接合面の密着化には大きな接合圧力が必要で、これに対して試作のTiー20Zrー20Cuー20Niろうを用いて液相拡散接合を行うと、非常に低い接合圧力でかつ比較的短時間に良好な接合が行える。また、接合後の時効熱処理により継手強度をさらに向上させることができることも明らかになった。 Ti基ろうによるTiー21Vー4Al合金の液相拡散接合は、耐熱超合金の液相拡散接合に比べて、かなり短時間の接合で母材とほぼ同様な継手部組織及び組成が得られることが明らかになった。さらに、この場合の等温凝固の進行が、融点降下元素のCu及びNiの拡散に律速されることも明らかになった。 次に、母材の変態点以下の温度で接合された工業用純チタンの継手部組織について透過電子顕微鏡及び分析電子顕微鏡等による詳しい観察及び分析を行い、その接合機構について考察した。 その結果、接合温度に保持中にZr、Cu、Ni等の融点降下元素が母材中へ拡散することによって接合部の液相は急速に等温凝固すること、また接合後の冷却途上に接合部が共析変態し、αTiとTi_2Cuの微細な層状・棒状及びセル状組織にZrが固溶した状態となることが明らかになった。 さらに、CPTi接合部に観察される針状組織の領域は、αーTi母材中における固溶限以上のCu、Niを含む領域に対応すること、また、この共析変態領域の幅は、接合時における各元素の拡散の進行により一旦増加したのち減少し始め、やがて消失することを組織観察及び拡散理論による解析によって明らかにした。
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