研究課題/領域番号 |
62460200
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
大東 弘二 山形大学, 工学部, 教授 (90185372)
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研究分担者 |
石井 文明 北海道大学,工学部, 助手 (30001308)
小山 清人 山形大学, 工学部, 助教授 (60007218)
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キーワード | 強誘電性高分子 / P(VDF-TrFE) / PVDF / P(VDF-TeFE) / 単結晶 / 高圧 / 電子線回析 / NMR |
研究概要 |
一般に高分子は融液から結晶化すると球晶となる。しかし強誘電性を持つフッ素系高分子、とくにフッ化ビニリデンと三フッ化エチレンの共重合体P(VDF-TrFE)は常圧下でも厚いラメラ結晶と大きいバルク状結晶が生長する。本年度は高温・高圧下でのP(VDF-TrFE)の結晶化によって、従来、球晶でしか生長しない高いVDFモル組成の共重合にもラメラ結晶が発達することがわかった。また、PVDF、ついても同様な研究を行ない、これまで常圧ではα型(非強誘電・非圧電性)の結晶が高温・高圧下では伸び切り鎖β型結晶に生長することがわかった。電子線回折によって、この結晶ラメラは欠陥のない単結晶であることを見出した。伸び切り鎖単結晶は高温・高圧下で出現する常誘電相(六方晶相)で発達する。このことからPVDFの圧力をパラメタとする相図が求まった。常誘電相は2Kb以上、260°C以上の温度で出現する。大きい単結晶は常誘電相で分子鎖回転(分子鎖軸の)が起り、分子鎖の鎖に沿ってのすべり移動が容易となることによっていることが分った。得られたラメラ結晶について、強誘電性ドメイン構造を検討した。ポーリングによってラメラ全体がほぼ単一のドメイン(分域)構造をもつこと、熱で脱分極することにより、ポーリングラメラの分域1〜2μmが0.1〜0.005μmに分割されることがわかった。また、ポーリング膜をキュリー点付近で熱処理することにより、反平行ドメインが成長することが分った。 結晶育成の方法として種々試みた中で、帯域融解結晶法が有効であることがわかった。この方法によればラメラは約0.2μm厚みとなり10-15μmのバルク状結晶が多数得られることが分った。また高結晶性の強誘電体のキュリー点付近の分子運動をNMRを用いて明確にすることができた。さらに、応用として、超音波顕微鏡など各種の超音波送受波子を開発した。
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