研究概要 |
構造用パーティクルボードの熱圧成板におけるボード内部構造形成の機構を, 各種要因の影響をもとにして解析した結果, つぎの事項を明らかにした. (1)小片の樹種:高比重材からの小片は, 熱圧成板時のボード内部にて, 小片端部間々隙をその上下に存在する小片が塑性的変形によって充填するのに限界があり, 充填構造向上のため150℃,10MPaの条件を設定すると,小片自体の圧潰損傷を生じる. (2)小片の形状寸法:小片の厚さは上記の高比重材小片での内部構造充填挙動に類し, 厚いほど小片の曲げ剛性が強く, 小片間々隙に対する充填作用が低い. また, 過度な熱圧条件では屈曲による折れ曲がりの小片損傷が併発する. (3)配列様式:重ね合わせ(Lap)配列では, 積層形成において, 小片瑞部でめり込みによる屈曲, 塑性的圧潰, 曲げ破壊などの小片自体の損傷が起きて, しかも先細りの間隙が生じて有効接着面積が減らされる構造をとる. この傾向はLap配列の小片間々隙が3〜6mmの小さい場合にとくに顕著である. 一方, 突付け(Butt)配列では, 小片端部間に多少の間隙をもつ整然として層状構造をとるが, 小片端部間々隙が9mm以上の大きい場合, 上下に存在する小片がその間隙を充填しようとして圧締圧力により曲げモーメントが生じて曲り込みを伴うと同時に, その間隙両端小片部に強い圧力集中が起き, 大きな圧潰を生じるような内部構造が形成される. 以上の成果から, 構造用パーティクルボードには小片接ぎ目, 間隙, 小片自体の変形セット状態および損傷などが複雑に散在するが, 小片形状, 配列様式ならびに熱圧成板条件などの設定の適正化をはかることによって, 内部組織構造の形成を規制できることが明らかにされ, 次年度からのボードの材質に関する研究の基礎資料を得た.
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