今後とも利用開発が一層期待されている構造用パ-ティクルボ-ドの内部組織構造の変形と破壊に至る挙動、すなわち破壊様態(Fractography)について究明し、ボ-ド内部組織構造に係わる強度設計についての基礎的知見を得た。その成果を要約するとつぎの通りである。 (1)配向性ボ-ドの内部組織構造において、Strandが突付け配列で接目間隔が小さい場合、Strand間接着層部のせん断作用が破壊強さを低める。また、重ね合わせ配列での接目間隔が小さい場合、接目近傍でのStrandの屈曲およびめり込み損傷の存在により、固定変形のもどり開放現象が併発して破壊強さを弱める。 (2)3層構造ボ-ドと配向性ボ-ドの繰返し曲げ疲労における破壊寿命分布モデルは3母数Weibull分布関数が適合する。また疲労寿命や破断過程への移行点No.すなわち内部組織構造変化の特異点とcyclic creep進行速度との関係には全応力レベルで単一の近似式が成立する。 (3)配向性ボ-ドでは、引張側の外層からの断続的せん断破壊と内部欠陥の生長が併発して階段状に緩和する。一方、3層構造ボ-ドでは、くり返し初期から発生したき裂型欠陥の伸展によって定常段階での応力緩和が直線的である。 (4)3層構造ボ-ドのたわみ制御疲労における履歴エネルギの極小値と疲労寿命の関係から、疲労破壊条件が間接的に推定できる。一方、配向性ボ-ドのたわみ制御疲労では、初期の内部組織構造の塑性変形要素の消失、さらにStrand間接直部の断続的せん断作用によって履歴エネルギが減少するが、内層側での塑性変形の蓄積に伴いエネルギ損失率は増大していく。 以上の成果をもとにして、建築や家具構造体の部材としての構造用ボ-ドの接合や複合とその内部組織構造の関係を追求する予定である。
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