研究課題/領域番号 |
62460204
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
穴瀬 真 東京農工大学, 農学部, 教授 (80015619)
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研究分担者 |
矢橋 晨吾 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (10015654)
加藤 誠 東京農工大学, 農学部, 助手 (50015096)
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キーワード | 法面 / 農地造成 / マサ土 / 粘土鉱物 / 保水性 / 土壌侵食・法面崩壊 / リル / ガリ |
研究概要 |
現在各地で農地造成が行われているが、保全上問題となるマサ土地帯での造成が多い。したがって、造成法面の安定性を論じる上でマサ土地帯での造成が必然的に問題となる。マサ土というのは水に対して不安定な土壌であるからである。マサ土と一口にいっても地域により鉱物組成が異なり、風化変質があって画一的な農地造成の設計はできない。その地域のマサ土の風化変質を考慮した設計・施工がなされるべきである。 そこで、各地域のマサ土にあった農地造成法を検討するための基礎的資料を得るため、風化が進めば土粒子が微細化し、粒子の比表面積が増加する。比表面積を風化の尺度とし、造成が行われているマサ土を採取して、風化の進行にともなって理工学的性質がいかに変化するかを検討した。実験項目は比表面積、比重、腐植含有量、粒度、締固め、pF水分曲線、磁性鉱物含有量、示差熱分析(DTA)。熱重量分析(TG)、X線回析試験等を行い、さらに電子顕微鏡観察、現場で法面調査を行った。 その結果、マサ土の理工学的性質は風化の進行にともなって細粒化、粘土化し、締固めにいて乾燥密度は小さく、最適含水比は大きくなる。すなわち水分保持特性は増大する。これは風化変質の主体である黒雲母の風化変質によることが大きい。黒雲母を多量に含有すると、質によって異なるが、風化変質をより受けやすくなることがわかった。 以上の特質土壌侵食に大きく影響していると考えられる。つまり、吸水膨張性に富む有色鉱物が降雨によって吸水膨張し、土壌面を極めて軟弱状態にして、土粒子間の結合が弱まってリルやガリを生じさせる原因となる。このことが不安定な法面を構成する原因になると考えられる。マサ土といっても地域により構成が異なるので、画一的な農地造成の設計ではなく、特質を考えた造成計画でなければならない。このことをさらに検討していくつもりである。
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