研究概要 |
現在各地で、農地造成が行われているが、保全上問題となるのはマサ土地帯での造成法面安定性である。マサ土というのは水に対して不安定な土壌であり、またマサ土と一口にいっても地域により鉱物組成が異なり、風化変質があって、画一的な農地造成の設計は不可能である。 そこで、各地域のマサ土に合った農地造成法を検討するための基礎的資料をうるため、造成中の地区のマサ土を採取し、風化の進行に伴って理工学的性質がいかに変化するかを検討した。 その結果、マサ土の理工学的特性は、鉱物組成や風化度に影響され、風化の程度によって粒度組成、土の強度、透水性が異なる。また水分状態によって強度低下が著しい。したがって、マサ土地帯の現場施工上の問題点としては、水の処理方法が特に重要であると考えられる。すなわち、マサ土地帯では、水の作用により粒子の破砕,分解,侵食が起こるため、土木的及び農法的侵食防止対策によって、いかに安全迅速に排水を行うかが重要となる。その対策として、基盤安定のための湧水の処理、法面安定工法としての布団籠、砕石ドレ-ン等、更に排水路の系統的設置等が要求されるが、これらについて検討すべき事項をあげた。またマサ土地帯において、農地の造成、保全計画を立てる場合、一例として、施工条件を要因別にランクづけして、それによって防災工の設計組合せと変えていく等の検討方法を新しい有効な計画設計手法として提案を行った。 このように、マサ土地帯では、排水方法及び盛土施工法を各地域の実状に合わせて計画することが重要な課題であり、その意味から、本研究の成果は新しい知見を含み、今後のマサ土地帯の農地造成、保全に対して学問的にも技術的にも寄与できるものと考えられる。
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