研究概要 |
農村集落排水のような小規模汚水処理施設に適した脱リン技術として, 鉄接触材を使用した脱リン法の開発と実用化並びにその運転管理条件を明らかにすることを目的として, 実施設を利用した実証試験を行った. 1.接触曝気法…岡山県山手村平山地区処理施設 本地区は処理対象人口234人, 計画汚水量63.2m^3/日規模のもので, 二系列から成る. そのうち第一系列第一段接触曝気槽の前半部に球状の鋳鉄製〓材を1160個充てんした. その結果通常のプラスチック〓材を使用した第一系列ではリン除去率は-80%から50%まで流入負荷変動に応じて著しく変動していたが, 第二系列では35%から80%の間で変動し, 平均除去率は60%と比較的良好な除去率を示した. この時の最終沈澱槽のリン濃度は1〜2mg/lであった. 2.回転円板法…鳥取県東郷町埴見地区処理施設 本地区は処理対象人口220人, 計画汚水量59.4m^3/日で二系列から成る. そのうちの一系列の円板をプラスチック製から鉄製に交換してその脱リン効果を比較したところ, 従来のプラスチック円板の流出水リン濃度は平均4.1mg/lであるのに対し, 鉄製円板の場合は2.28mg/lと減少していた. 上澄水のリン濃度は2.0mg/lに対して, 0.40mg/lと, とくに脱リン効果が顕著であった. 3.回分式間欠曝気法…滋賀県秦荘町常安寺地区処理施設 処理対象人口210人で実容積36m^3の曝気槽2連から成り, 1サイクリの処理水量約8m^3, 1サイクル8時間の処理が4時間ごと交互に行われている. 鉄接触材として鉄筋を浸漬したところ, 90%以上の非常に高いリン除去率が得られた. この時の処理水のリン濃度は0.2〜0.3mg/lであった. 4.今後の検討課題 負荷変動や水温低下に対するリン除去の安定性について引き続き実証実験を行う予定である.
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