研究課題/領域番号 |
62460207
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
四ケ所 四男美 九州大学, 農学部, 助教授 (80038265)
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研究分担者 |
平松 和昭 九州大学, 農学部, 助手 (10199094)
森 健 九州大学, 農学部, 助手 (50117272)
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キーワード | 山地小流域 / 流出過程 / 同定手法 / 流域貯留量 / 斜面流の抵抗則 |
研究概要 |
62年度に引き続き、御手洗水試験流域(流域面積0.095km^2)における水文観測の継続と確率システム理論を流出解析に適用した。今年度は、流出モデルとしては、分布定数型の表面流出モデルに絞り、このモデルに含まれる等価粗度と斜面流定数について詳細な検討を加えた、さらに、これらの成果をふまえて、流域の集中化問題と流出モデルの構成に関して論じた。これらの結果をまとめると次のようになる。 1.等価粗度の値は、有効雨量の算定法や等価流域のとり方で大きく影響を受ける。ゆえに、等価粗度を整備していく場合、有効雨量の算定法や等価流域のとり方に基準を設けることが必要である。 2.山地小流域を対象として表面流モデルを適用するときは、斜面流れを急勾配水路として取扱った場合とそうでない場合とでは、等価粗度に大きな違い(10割程度)が発生する。 3.斜面流定数の時空間的変動を確率システム理論によって追跡した。試験流域での計算結果は、出水過程の大部分において、斜面の最上端から中央付近までは線形則に、それから下流端までは非線形則に相当する値をとる。この結果は、流出モデルを構築する場合の流域分割に対して有効な情報となる。 4.斜面流定数の空間的分布特性を考慮し、斜面を2個のタンクで表わす概念モデルを考えた。1段目のタンクからの流出はダルシー則に従い貯水深に比例して流出し、2段目のタンクからはマニング則に従って流出すると仮定した。両タンクからの流出係数だけが未知パラメータとなるが、両者の値のオーダーに開きがあるため、パラメータ同定に問題がある。計算例によれば、表面流モデルの計算結果と同程度の精度であった。
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