研究概要 |
耕盤を有する一般の圃場は, 斉一半無限地盤とは異った力学的特性を有するが, そこでの農機走行性究明の基礎固めとして,先づ,土の深さを一連に変化できる室内土槽を製作し,油圧装置により,種々の角度で矩形板(底面は常に水平)を土表面に貴入する試験を実施した. そのさい,油圧プランジャーの先端に取り付けた鋼製の「L型」アームに貼付した歪ゲージにより,矩形板に作用する鉛直力および水平力の測定を行った. 実測結果によれば,同一沈下量における鉛直力は,土層厚が薄いほど,また,傾斜角が大である(鉛直に近い)ほど,大であった. 他方,水平力は,土層厚が薄いほど,大となるが,傾斜角は約60°付近で,最大値が見られる. 本現象を理論的に解明するため,滑らかな弾塑性遷移を表現できる下負荷面モデルを導入し,弾塑性変形解析としての有限要素プログラミングを行った. なお,矩形板の底面と土との接触面にはクーロンの乾性摩擦が作用するとして境界条件の処理を行った. 本プログラムにより,上記の実験と同じ条件に設定した貴入問題の解析,算定を行ったところ,実測値の全般的な傾向を説明しうる結果を得た. さらに,車輪の走行性の理論的解明の第一段階として,剛性の円形車輪を鉛直に沈下させた後,所定のすべり率で,回転・走行する過程を有限要素法により解析した. 本プログラムにおいても,下負荷面モデルを導入し,車輪表面と土の間にはクーロン摩擦を仮定している. 本解析により,車輪回転時には,垂直応力の最大値は,車輪前方に生じ,これはすべり率が大であるほど,著しいことなど,従来の諸実測結果に見られる基本現象が示された.
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