研究課題/領域番号 |
62460222
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
情報学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
米澤 明憲 東京工業大学, 理学部, 教授 (00133116)
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研究分担者 |
柴山 悦哉 東京工業大学, 理学部, 助手 (80162642)
BRIOT J.-P. Tokyo Institute of Technology, Visiting Researcher
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研究期間 (年度) |
1988
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キーワード | プログラミング言語 / オブジェクト指向計算 / 並列処理 / 言語処理系 / デバッグ |
研究概要 |
我々の設計した並列オブジェクト指向言語ABCL/1で記述されたプログラムの実行効率を向上させるために、「共有記憶をもたない多重プロセッサ」いわゆる分散環境上での処理系の試作を行った。この処理系に関する詳細は、発表論文[1]に譲るが、今回の実現では、仮想的な分散マシンを設定し、その分散マシン上の処理系の実現をCommon Lispで記述し、仮想分散マシンの実マシンへの実現は、実マシンに最適な言語で実現するという方式をとった。一般に並列オブジェクト指向言語の処理系を実現する際に、(a)オブジェクトへのネットワーク透過なアクセスの実現、(b)オブジェクトのプロセッサノード間の移動の実現、(c)オブジェクトのガーベジコレクションの実現、などの問題がある。我々はこれらの問題に関し、すべてのプロセッサに広がる単一名前空間を仮定し、これをDOOP(Distributed Object-Oriented Pointer)を用いて実現した。特にガーベジコレクションに関しては、DOOPに基づき、Chandy-LamportのDistributed Snapshotの手法を用いた分散型のmark-and-sweep方式による新しい方法を考案した。デバッグ方式に関する我々の研究は、事象間の半順序関係の単純な追跡では、過剰なデバッグ情報から有効な情報を抽出することが困難な場合が多いという認識から出発し、「オブジェクトグループ」という概念を導入した。オブジェクトグループとは、ひとまとまりの仕事を共同で遂行するオブジェクトの集まりで、これによってグループの構成員同士のメッセージのやりとりと、それ以外のメッセージのやりとりの区別が可能となる。この方法を基礎に、従来のインスペクターを拡張したオブジェクトインスペクター、オブジェクトの受信メッセージの履歴情報、およびこれらの情報の呈示方法の改良などにより、比較的強力なデバッグ方式が確立された。詳細は発表論文[2]を参照されたい。
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