研究概要 |
本研究の目的は, 仕様とドキュメント付きのプログラム群を対象にしたソフトウェアの再利用を, 帰納推論と類推の応用による知的問題解決として捉えて, その問題点を究明し,方式を実現することである. この目的を達成するために, 本年度は次の各点に重点を置き, 成果を得た. (1) 論理型言語PRologによる典型的なプログラムを作成し, 再利用方式の実験対象としてのソフトウェアを整備した. (2) 仕様とドキュメントからキーワードを抽出する一種の情報検索システムを研究した. 情報検索システムとしては, 代表者が15年程前に研究開発していた研究者ファイルを用いる多段階情報検索システムMIRーRFの方式が, 論理プログラムと良くなじみ, 有効であることを明かにした. (3) Prologプログラムの抽象化による分類法に関する基礎的研究を行い, その可能性と限界について成果を得た. (4) 類推により出発点となる論理プログラムを選出して, 上向き・下向きの双方向精密化オペレータによる帰納推論を使うプログラム開発のための基礎研究を行い, 基本的な方式を確立した. (5) 帰納推論と類推の並列化及び計算量に関しては, グラフを対象とした効率的に並列化可能が否かに関する体系的で深い研究成果を得た. この研究により, 多くの問題が効率的に並列化不可能であることが判明し, また効率的に並列化可能な具体例も数多く得られた. 上記研究の他に, パタン照合アルゴリズムを駆使したテキストデータベース管理システムSIGMAを全面改訂した. その際に, プログラム開発の効率化のために, 類似したプログラム部品を有効に使うためのマクロFortranを開発しそれを利用した.
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