研究課題/領域番号 |
62460225
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 哲夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (60005923)
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研究分担者 |
上羽 牧夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (30183213)
小松 啓 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (00108565)
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キーワード | 塩化第一銅 / フラックス成長 / トップシーディング法 / 暗視野法 |
研究概要 |
CuCl(m.p.=422℃)は407℃でウルツ鉱型からせん亜鉛鉱型へと相変態するため、われわれはKClをフラックスとしてこの変態点以下で結晶育成(トップシーディング法)を行った。そこで問題となるのはフラックス濃度と育成結晶の品質との関係である。状態図の検討によりKClは3mol%以上加える必要があることがわかった。そこで、3.0から24.9molまでKCl濃度をかえて結晶育成を行ったところ、241mol%の時には、結晶は液と切れ易く引上げることができなかった。8.9mol%では結晶引上げは可能となったが、この濃度では結晶はフラックスをたくさんとり込み白濁状態であった。6.0mol%では少し透明になってくるが、それでもグレインサイズは小さかった。結局3.0mol%の時(この濃度での融点は変態点407℃にきわめて近い)が最も透明度の高い、しかもグレインサイズの大きな結晶が得られた。以上のべた結果は成長速度を〜0.5mm/hとした場合のものである。いくらKlC濃度を低くしても(3.0mol%まで)、成長速度を約10倍、すなわち5.22mm/hにした場合には、結晶は著しく白濁してしまうことがわかった。 また暗視野観察により、とり込まれたフラックス分布が、KCl濃度の増大にともないランダム分布がらセル状分布へと変化することもわかった。 こうした現象は、固液界面近傍の溶質分布がフラックス濃度や成長速度にどのように影響されるかを倫理的に考察した結果、組成的過冷却現象を適用することによりうまく説明できることがわかった。 偏光観察により、内部歪は、350℃、24hのアニールで除去できることがわかった。またconc,HClエッチングにより{111}は、極性により、白いピットと黒いピットにわかれることがわかった。種結晶{〔111〕、〔100〕と〔110〕}用いた育成を試みたが、種の方位をうまく継承させることはできなかった。今後の課題である。
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