研究課題/領域番号 |
62460232
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秦 和夫 京都大学, 工学部, 助教授 (70109023)
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研究分担者 |
東 邦夫 京都大学, 工学部, 教授 (30026017)
藤田 治之 京都大学, 工学部, 助手 (90026039)
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キーワード | 水素脱離 / 水素保持 / X線照射 / 応力 / 核反応法 / 水素定量 / リテンション |
研究概要 |
本研究の目的はX線照射が金属試料からの水素脱離に与える影響について検討するとともに、応力の印加が試料内の水素保持に及ぼす影響を調べることである。昨年度すX線照射による水素の脱離は見られず、池谷らの報告する結果と矛盾したデータとなった。今年度は検出効率を上げて昨年と同一の実験をくり返し、データの再現性をみた。又、昨年荷重を加えた時、残留水素量の増加がアニーリングしたAL試料でみられたので、今年度は更にNi,304SSについてもアニーリング試料を用意、又荷重も5kgまで増大させて実験を行なった。 X線照射の影響を調べるため厚さ100μmのNi及び304SSに対し、H_2SO_4の重水溶液中で電解浸透法で重水素の吸蔵を行なった。この重水素吸蔵試料に対し超強力X線解析装置を用い種々の照射時間でX照射(≧2MR/h)を行なった。同一条件で作成された照射、非照射試料に対し重イオンバンデグラフ加速器により核反応法を使った残留重水素の定量を行なった。測定感度を上げるため昨年より多量の重水素の吸蔵を行ない、核反応法による測定でも検出感度を高める工夫をし、プローブビームを広げて試料面を均一に照射した。しかし、このような工夫を行なっても、X線照射の影響は認められなかった。二つの原因は我々と池谷らの試料の表面状態の差にあるかもしれないので、今後表面状態の分析を進める予定である。 次に応力の影響を調べるため、金属試料にコッククロフトワルトン加速器により荷重を加えた状態でD^+を打込んだ。荷重は5kgまでとし、試料にはALの他Ni、304SSも加えた。重水素の定量は核反応法を使って行なった。測定結果はバラつきが大きく、残存重水素量と荷重の間には明確な相関はなかった。今年度は、打込みと定量の間(液体チッソ温度で保管)の時間が非常に長かったので重水素の一部放出の可能性がある。
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