研究概要 |
今年度は3年計画の研究の初年度にあたる. 最終目的である気圧配置型復元に要する, 日々の天気分布図作成のために, 江戸時代の史料より電気記録を収集するほか, 関連する研究を行なった. 主要な成果は以下である. 1.天気の記載のある江戸時代の日記およびその所蔵機関を調査した結果, 現在ずでに100余件の存在が判明した. 2.前記史料のうち「遠山家日記(八戸)」,「杉浦家日記(京都)」,「多度津藩日記(多度津)」,「遂袋(高知)」,「園元御群日記(厳原)」,「除野文書(熊本)」をはじめとして, 全国規模で電気記録の収集を行なった. 3現在の約30年間(1968〜1986)について気象庁の普通気候観測資料より, 気圧・気温・降水量・雲量・現在天気などのデータを収集した. 4江戸時代の気圧配置型復元のベースとなる現在の毎日の気圧配置型について, 地上天気図のほかに高層天気図等を加えての合理的な総観気候場の分類方法を検討し, 判定作業を進めている. 5.天気記録から4の気圧配置型を復元するための方法について, 予察的な検討を行なった. 上記1〜5のうち, 2および3については, 今年度購入した機器(フロッビーディスク装置)等を利用して, データベースへの入力作業を進めている. また, 1・2に関連して得られた知見を含めて, 江戸時代の気候についての予察をまとめ, 別場の論文として報告する予定である. 来年度およびさ来年度(昭63・64)には以下のように研究を進める予定である. 1.古日記より天気記録の収集を継続し, 特に現在までに収集の少ない日本海側地域を中心に行なう. また効率的な収集が可能でかつ小氷期として重要な1830ー1870年代(天保〜慶応年間)を主たる対象とする. 2現在の30年間について合理的な毎日の気圧配置型を確定する. 3天気分布からの気圧配置型の復元方法を確立し, 幕末期を対象として気圧配置型を復元する. 5.小氷期の気候の総合的分析を行なう.
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