研究概要 |
CAI,教科書,プログラム学習書など,教科内容を文字で表記して学習者に提示する場合,その[表示方法]として,従来は,ほとんどが[原稿用紙のますめを機械的に埋める形(箱型)]が取られていた. そこで,我々は文章の読み易さ,理解し易さを向上させるために,[文章の意味や内容に応じて,その配列を変える方法(感覚型)]を提案した. この両者の比較については,既に予備実験の結果から,後者の[感覚型]の方が読み易く,理解度が高いことが確かめらている. そこで,本年度はこれらの本質的な原因を明らかにすることを目的とし,[箱型]の[文字間隔]及び[行間隔]を変化させた数種類のパタンを用い,これらを読む際の[視点の動きの測定]及び[読み易さについてのアンケート調査]を行なった. また,[もやもや理論(人間が図表や文章を見る場合,その眼底に写し出されるそれらの画像が明瞭であっても,それが脳の中で情報処理されるところでは,もやもやとした不鮮明なものになるという考え)]との相関関係を調べた. 以下,[文字の高さ=B][行間隔=b][文字幅=A][文字の間隔=a] [結果1]作製した[文章パタン]をモニタ上に提示して,アイマークレコーダーを装着した被験者に読んでもらい,[視点の動き]を調べた結果,視点がスムースに動く表示法としては,(a/A=2/16一定)で,(b/B=20/16)が良く,また,改行時の視点が[文字ずれ]したり[途中停止]したりするのは[上述のもやもやの濃い部分]に生じることもほぼ明らかになった. [結果2][読みやすさ]と[文字間隔 a]対[行間隔 b]比の関係について測定を行った結果では,(a/A=4/16,b/B=7/16)が適当であることがわかった. 測定法の違いによって結果は異なったが,結局,行間は,これを現在の文字放送に使われているものよりも広く空けて,1行程度にする方が良いことが明らかになった.
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