研究概要 |
62年度の大部分は当初の計画に従い, 既存のガスクロマトグラフー質量分析計の改造に費やされた. 行った主な改造点は以下の通りである. 1. 放電流通法による反応室を設計・製作し, 既存の質量分析計の真空槽に取り付けた. また, これにともなう真空排気系を作製した. 2. 反応室(圧力約10Torr)で生成した生成物を質量分析室(約10^<-6>Torr)に導入するためのピンホールー差動排気系を設計・製作した. 3. ラジカルを生成させるための光分解用光源(強度変調が可能)および電源を製作した. 以上の改造により本実験が可能となった. 今後, 初期の計画に従い, 窒素のマイクロ波放電によって生成する窒素原子とアセトンの光分解によって生成するメチルラジカルとの反応で出来ると考えられる不安定な生成物の質量分析を試みる. 窒素の圧力, 流速, アセトンの圧力等の条件を種々変えて生成物によるイオン強度を質量を分析した後測定する. これにより, 窒素原子とメチルラジカルとの反応機作の詳細が解る. この時, 本実験では光分解用光源の強度が変調されているので, 生成物イオン強度も変調されているので, イオンシグナルを高感度で測定出来ると同時にその位相の差より反応速度定数に関する情報が与えられる. これらは反応機作を確立するうえで大きな情報になると期待している. また, 重水素化合物を使用することにより, 生成したイオンの同定を容易にする. メチルラジカルと窒素原子との反応の研究が終了した後に, 反応させるケトンの種類を変えることにより, 反応物であるラジカルの種類を変えられるので, 生成物の分布や反応機作の変化等が調べられる. これらの実験結果を集積することにより, 窒素原子と有機ラジカルの反応に関する一般則を導く.
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