1.既存の質量分析器を本研究の目的に沿うように改造を行ってきたが、使用した質量分析器が古いものであったため、予想以上のトラブルに出会いその解決に多大の時間を必要とした。窒素のマイクロ波放電によって生成する窒素原子と、アセトンの光分解により生成させたメチルラジカルとの反応の研究を行ったが生成物の信号強度が弱く定量的なデ-タが得られなかった。同様な実験をジエチルケトン、またはジプロピルケトンの光分解により生成させたエチルまたはプロピルラジカルでも行ったが、得られた結果は同じであった。今後、質量分析器の検出器の感度の向上を計る必要がある。 2.ダイアモンドを水素気流中・高温下で金属と反応させて加工するという手法が最近考案された。今回制作した装置を用いて、この系で起こっている反応を調べた。天然ダイアモンド粉と金属粉の混合物を、種々の温度で水素気流中で加熱し、反応後の水素を直接質量分析器に導入し、分析した。金属粉としてニッケル、鉄、クロミウム、モリブデン、およびコバルトを用いた場合、メタンの生成が約500℃以上で観測された。タングステンおよびモリブデンを用いて場合は、1000℃にしてもメタンが観測されなかった。また、水素をマイクロ波放電してもメタンの生成が観測されなかった。 3.N_2OやNOを真空紫外光で分解するとN原子が生成されることが知られている。そこで、C_3O_2/NO系またはC_3O_2/N_2O系に真空紫外光を照射したところ、CNの励起状態からの発光が観測された。このCNの励起状態の生成機構を位相差法を用いて調べた。
|