研究概要 |
反応速度論の究極の課題は非経験的に速度定数を算出することであるが, 現時点では未だ実測に頼らざるを得ない. 一方において, 素反応過程を実験的に観測することも容易でないため, 測定された値がはたして素反応に対応するかどうかも検討を要する. 本研究では先ず反応が一つの経路だけしか含まない反応系を用いて実験的にその反応速度を測定すると共にab initio 計算値との比較を行った. 取り扱った分子はプロピナール(HC 一方ホルムアルドキシムの分子脱離反応では, 理論計算と実測の結果がよく一致した. (論文1)この場合の遷移状態の構造と核の運動を調べると, 確かに特定の振動モードが励起する過程は含まれていない. このような場合は反応物内の各振動モードは統計的なエネルギー分布であることが判った. CWーCO_2レーザーによる研究は装置の完成が遅れたが, 予備実験を終了し, 現在本格的な測定を始めデータを出している段階である. 波長を選択した光源を用いるため分解や異性化の波長依存性についてのデータを得たので63年度の化学反応討論会で報告する.
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