研究課題/領域番号 |
62470011
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
斉藤 昊 広島大学, 理学部, 助教授 (00033853)
|
研究分担者 |
藪下 聡 広島大学, 理学部, 助手 (50210315)
角本 輝充 広島大学, 理学部, 助手 (50185724)
|
キーワード | 素反応速定数 / 遷移状態 / 単分子反応 / 衝撃波管法 / 赤外線レーザー加熱 |
研究概要 |
(1).「プロピナールの単分子分解の速度定数について」この反応速度定数の実測値と計算値との間に大きなギャップを示した。定性的には、遠心力効果で説明はつくが、今回これを更に詳しく調べてみた。すなわち反応座標に沿って分子構造の変化を計算し、結合距離と結合角度が大きく変わる点がTS付近にあるかどうかを調べた。その結果TS付近に反応座標に大きな曲率が存在することが見出され、理論計算にこのような効果を取り入れなければならないことが明らかになった。 (2).「エチルビニルエーテル(EVE)の単分子分解と生成するアセトアルデヒドの挙動について」分解反応が2段階の経路を経る反応では、2段階目の反応が必ずしも統計的な熱分布を取っていない可能性がある。確かに、アセトアルデヒドの分解に比べてEVEより生じる励起アセトアルデヒドは大きな速度定数を与えることが明らかになった。この反応ではTS-1のエネルギーはTS-2より40kcal/molも低いため、エネルギー的には一段階目からただちに二段階目の反応に進行することはできないことから他の因子を考えなければならない。 (3).「ジヒドロピランの単分子分解と生じたアクロレインの挙動」ジヒドロピランは分解してエチレンとアクロレインを生じる。またアクロレインは分解してエチレンとCOを生じる。今回ピランおよびラクロレインの分解速度を速定した。その結果TS-1のエネルギーは約50kcal/mol、TS-2では70〜75kcal/molであった。しかしピランから生じたアクロレインの分解速度は基底アクロレインの場合とほとんど同じであることが明らかになった。この結果は(2)の場合と全く異なる。エネルギー的には(3)の場合の方がむしろ二段階目の反応に移行し易いはずであるが、実際はその逆であった。このような違いを生じる原因について目下検討している。
|