研究概要 |
本研究では粒子数が10ヶ〜100ヶ程度の金属や半導体クラスターをレーザ蒸発法により作製し,単一粒子数の陰イオンクラスターを質量分析器により単離したのち,レーザー光脱離実験によりクラスターの電子親和力を決定することを目的としている. 本研究目的遂行には実験を次の3つの段階に分けることができる. 1)陰イオンクラスター発生源の開発. 2)〓集効率にすぐれ,空間的収束度の高い陰イオンクラスターの粒子数分別法の開発. 3)高感度光脱離光電子エネルギー分析法の開発. 1)に関し,NdーYAGパルスレーザー第2高調波とパルスノズル源からなる陰イオンクラスター発生装置を完成させた. クラスター発生部は直径40cm,高さ50cmの真空容器に置かれ,3500l/秒の排気系により高速排気される. NdーYAGレーザー光は焦点距離50cmのレンズにより回転直進運動するロッドに集光され,高温プラズマを発生させる. プラズマガスはレーザー光に同期したパルス状の冷却ガス冷され,クラスターを成長させる. 2)に関して,本研究では〓集効率が高く,比較的容易な方法として2重加速場型の飛行時間分析型質量分析器を製作した. 本実験で採用した2重加速方式では第1加速場はパルス電場により(立た下り200ns,-300V),クラスタービームからパルス的に切り出し,第2加速場(200V静電場)により下流50cmの位置で時間的,空間的に収束するようになっている. 現在,予備実験は終了し,より〓集効率,分解能を上げる実験を行なっている. 3)の実験では2)の実験結果をもとに50cm下流地点に光脱離実験用イオン化箱を製作した. ここでは2)の方式により時間的に分離された単一粒子陰イオンクラスターの到着時間に同期したパルス色系レーザーにより光脱離を行ない,光電子エネルギー分析を行なう. この実験は次年度に遂行予定である.
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