研究課題/領域番号 |
62470016
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
阿知波 洋次 東京都立大学, 理学部, 助教授 (20002173)
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研究分担者 |
鷲田 伸明 国立公害研究所, 大気環境部大気化学室, 室長 (70101045)
小林 信夫 東京都立大学, 理学部, 助教授 (30087100)
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キーワード | レーザー光脱離 / 金属クラスター / 電子親和力 / 光電子分光 / 電子構造 |
研究概要 |
62年度に引き続き本年度は次の研究計画のもとに研究を遂行した。 1)負イオンクラスター発生部の改良、2)質量分析器(飛行時間分析型)に改良を加え、特定粒子数のクラスターの時間的・空間的集束度を向上させる。3)イオン検出器としてチャネルプレートを用い、測定時間の短縮化を計る。4)光脱離光電子スペクトルを測定する。 1)に関してはレーザー蒸発用に用いるNa-YAGレーザーの2倍波に加え、1.06μの基本波も同時に使用することにより、低出力のレーザー発振でも効率良くクラスターを発生させるのに成功した。2)に関し、2重加速場の分岐比を可変にし、質量分離に最大の分解能が得られるよう改良した後、イオンレンズ系を新らたに設置し、空間的集束をはかった。これにより光脱離実験に十分な負イオンクラスターの信号を得ることができた。3)に関しては現在改良中である。4)の項目に関しては、光電子分光実験に先立ち、光脱離実験の予備的研究を進めた。試料としてAl、炭素を用い、Aln^-及びCn^-のレーザー光脱離を行なった。特定粒子数負イオンクラスターの飛行時間に同期したNd-YAG2倍波(2.3eV)、3倍波(3.5eV)を照射し、特定粒子数から脱離する光電子を検出した。Aln^-では2倍波でいづれのイオンクラスター(<30)も光脱離し、質量スペクトルと良い対応を示した。Cn^-では興味ある結果が得られた。Cn^-の場合、2つの構造異性体が予想されており、両者の間で電子親和力の差がある。本研究でこの電子親和力の差により、クラスター発生の条件により鎖構造と環構造の2種が存在することが明らかにされた。研究はさらに、脱離用レーザーの遅延時間を固定し、光電子運動エネルギー分布測定まで進んでいる。今後、さらに試料を広げ、各粒子数における電子構造の違いを明らかにする予定である。
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