研究概要 |
2,4ーペンタジエン類のうち, 特に3ーメチルー2,4ーペンタジエンニトリルについて研究を進めた. 本年度は, その合成前駆体である3ーヒドロキシー3ーメチルー4ーペンテンニトリルの反応について, 以下のように研究を進め, それぞれ成果をあげることができた. 1.3ーヒドロキシー3ーメチルー4ーペンテンニトリルは, 反応性が高く, 酸によって容易に3ーメチルー2,4ーペンタジエンニトリルに変換することができた. しかし, 酢酸との反応によって, ジエンニトリルの他に, 水酸基がアリル転位してアセチル化された代合物が同時に得られることがわかった. 2.3ーメチルー2,4ペンタジエンニトリルの鉛電極を用いた反応では, 温度によって生成物に差があることがわかった. すなわち, 低温においては動力学的に制御された生成物と思われる1,8ージシアノー2,7ージメチルー2,6オクタジエンが主として得られ, 高い温度では, 熱力学的に安定な, すなわち, シアノ基と二重結合が共役した1,7ージエンが生成した. これらは, イソプレン骨格が4ー4結合したものであることから, 天然物合成に利用できるものと考えられる. これは今後の研究主題となる. 3.先の1で得られたアセチル化物(5ーアセトキシー3ーメチルー3ーペンテンニトリル)の用途について検討し, 昆虫のフェロモンを合成するための前駆秀質であるイソゲラニオールの合成について検討した. すなわち, アセチル化物とメタリルブロミドとのRefurmatskg型反応によってイソゲラニオールの骨格を形成し, 続いて生成するカルボニル化合物の還元によってイソゲラニオールを得た.
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