研究課題/領域番号 |
62470027
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
柿澤 寛 筑波大学, 化学系, 教授 (50015492)
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研究分担者 |
原 慶明 筑波大学, 生物科学系, 助教授 (60111358)
楠見 武徳 筑波大学, 化学系, 講師 (70015882)
井上 幸信 筑波大学, 化学系, 助教授 (00015570)
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キーワード | ヘテロシグマ / オキナワモズク / オクタデカテトラエン酸 / エイコサペンタエン酸 / アラキドン酸 |
研究概要 |
陸上植物の他感作用については大分くわしく研究され、この作用に関与する物質も多数単離されそれらの化学構造も解明されている。しかし海洋性の藻類についてはこのような現象は知られていなかった。本研究者らは昨年褐藻オキナワモズクから他感性物質を単離した。本年度はこの他感性物質について更らにくわしく検討した。この物質の化学的本体は、メチルエステルの質量スペクトルが290にM^+のピークを示すこと、H-NMRスペクトルでδ0.99にメチル(t)のシグナル、2.89にビスビニルメチレン(6H)のシグナル、5.40(8H)にビニルプロトンのシグナル等を示すことなどから、オクタデカテトラエン酸であると決定した。また別の方法で同一物質を調製し生物検定を行ったが、天然物と全く同一の生理作用を示し活性物質の構造を確認することが出来た。生物検定はスザビノリおよびヘテロシグマを用いて行っていたが、ワカメなどの褐藻の遊走子に対しても全く同一の作用を示すことがわかった。また微細藻に対する作用も検討した処、有毒赤潮鞭毛藻であるシャトネラおよびギムノジニウムに対して1ppmの濃度で数秒以内にすべての細胞を破壊させることが明らかになった。ついでオクタデカテトラエン酸のような高度不飽和脂肪酸はオクタデカテトラエン酸と同一の生理作用を示したが、オレイン酸とかリノール酸のように不飽和度の低い脂肪酸は活性が十分の一程度に低下することが明らかになった。
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