研究概要 |
1.植物わらびから発癌物質プタキロサイド(1)の抽出. わらびの水抽出物から水・ブタノール分配と樹脂吸着法によって,発癌性画分を調整し,ついで順相カラムクロマトグラフィーと逆相高速液体クロマトグラフィーによって純粋な発癌物質プタキロサイド(1)を單離した. 2.ジエノン(2)によるヌクレオシド類,ヌクレオチド類の化学修飾. アルカリ性條件下,プタキロサイド(1)から調整したジエノン(2)と四種のヌクレオシドをpH7.5,37°にて反応させた. その 結果,これらヌクレオシドのプリン塩基およびピリミジン塩基の特定位置がジエノン()によってアルキル化されることが明らかになった:アデノシンではN^6位(0.3%),グアノシンではO^6位(0.3%)とNー7位(0.5%),ウリジンではNー3位(2.7%)とO^4位(0.9%),シチジンではNー3位(2.3%)がアルキル化された. また二種のヌクレオチド(5′ーAMPと5′ーGMP)とジエノン(2)の反応を行うこと,リン酸基のアルキル化が,かなりの程度(28ー30%)起ることが示された. 3.ジエノン(2)によるDNAの切断. 二本鎖DNAにおいて一本鎖が切断されるとForm I(closed circular)からForm II(open circular)へ,さらに二本鎖切断を受けるとForm III(linear)へコンホメーションを変える. そこでジエノン(2)を一塩基対について20ー1000倍の濃度でpBR322DNAと反応(pH7.5,37°,11時間)させると,約100倍のジエノン(2)濃度でほとんど全てのDNAが切断を受けてForm魔IIへ変化し,200倍以上のジェノン(2)濃度ではForm IIIが生成することが電気泳動法により明らかになった.
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