研究概要 |
高純度シリカ1.0gを内容量7mlのテフロン製内容器に量り取り,この内容器をフッ化水素酸6ml,6M塩酸0.2ml,濃硝酸0.2mlを含む内容量23mlのテフロン製外容器に入れ,テフロン製の蓋をし,これをステンレス外筒に入れ,レンチとバイスにより締め付け密封する.この容器を180℃の電気オーブン中で一晩加熱し,容器内で発生した酸蒸気でシリカを分解する.放冷後,内容器のみを取り出し,ここに1M過塩素酸0.5mlを加えホットプレート上で蒸発乾固する.生じた残さを0.1M過塩素酸(または0.3%過酸化水素を含む)0.5mlに加熱溶解し,質量を測定して試料溶液とする.このようにして得られた試料溶液80μlを用いて不純物元素であるNa,Ca,Mg,Cu,Fe,Mnを一滴法フレーム原子吸光・炎光分析法により,またAl,Ti,Yを試料溶液50μlを用いる一滴法ICP発光分光分析法により定量した.この酸蒸気分解法を用いれば,高純度シリカ中の不純物元素を分解用試薬や実験室雰囲気からの汚染を受けることなく定量することができる. 水に対する溶解度の小さな溶媒の一つである四塩化炭素を抽出溶媒とし,目的金属元素のジチゾン錯体を四塩化炭素に抽出濃縮し,難燃性有機溶媒である四塩化炭素溶液40μlを直接噴霧する一滴法フレーム原子吸光分析法を確立した. 本法を国立公害研究所で新たに調製された標準植物試料である¨ホンダワラ"中の銅の分析に応用し,良好な結果を得た. 家庭用電子レンジを用いる粉末試料の酸分解法を標準動植物試料を用いて検討し,良好な結果を得たので,シリカの酸蒸気分解法へこの方法を応用したい. また,2g以上の高純度シリカを酸蒸気分解するテフロンボンベの開発,四塩化炭素以外の抽出溶媒とジチゾン以外の抽出試薬を用い,銅以外の元素を抽出濃縮し,この抽出液少量を直接噴霧する一滴法フレーム原子吸光法について今後検討したい.
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