研究概要 |
ステンレス外筒付二重テフロン分解容器中に2g以下の高純度シリカと分解用混合酸(フッ化水素酸+塩酸+硝酸)を別々に入れて密閉し、180℃の電気オーブン内で加熱し、容器内で発生した酸蒸気でシリカを分解する。この方法を用いれば、人為的に汚染させた各目的元素1mgを含む酸を用いても目的元素のブランクレベルは非常に小さく、天然シリカ、合成した高純度シリカ、ジョンソンマッセイ社の高純度シリカ中の微量不純物元素(Na,Ca,Mg,Cu,Fe,MnとTi)を前濃縮法を用いることなく、80μlを用いる一滴法フレーム原子吸光分析法と50μlを用いる一滴法ICP発光分光分析法とによりうまく定量出来た。しかしながら、不純物元素の一つであるアルミニウムを分析するには用いるシリカ量を200mg以下に減らす必要があった。 有機溶媒(四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、メチルイソブチルケトン)中にジチゾン、フェナントロリン、ヒノキチオール等の抽出試薬との錯体として抽出された金属を30ー40μlの抽出溶液を用いれば、一滴法フレーム原子吸光分析法によりD_2バックグラウンド補正を使用しなくてもうまく定量できた。50μl以上の抽出溶液を直接空気-アセチレン炎に噴霧すると、元素(Cu(I,II),Cd,Co,Fe(II,III),Mn,Zn)特有の興味あるスパイク状シグナルが得られたが、酸化二窒素-アセチレン炎を用いた場合には元素に関係なく普通のスパイク状シグナルが得られた。空気-アセチレン炎を用いて得られた元素特有のスパイク状シグナルは各金属酸化物の解離エネルギーの大小に関係しているようである。この原因は不燃性有溶媒を空気-アセチレン炎中に直接噴霧する事による炎の温度低下によるものであると考えられた。金属イオンのミクロ溶媒抽出法を用いることにより、標準植物試料(NIES-CRM No.9,ホンダワラ)中の銅をうまく定量する事ができた。
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