研究概要 |
1.トリフェニルメタン系色素にアセチレン結合を導入することによって,共役系の延長と平面性の向上が図れるのでこの種の機能性色素アセチレン類似体1)を各種,相当する前駆体アルコールの酸処理によって合成した. 1)は元素分析ならびに分光学的データによって構造の確認を行った. 2.1)の系のベンゼン環同士をヘテロ原子で結び,より平面性を向上させ,近赤外領域に強い吸収が期待できる色素系2)を系統的に合成した. 合成の方法は1)の場合と本質的に同じである. 2)の構造は元素分析および分光学的データから決定した. 近赤外領域に強い吸収を示す色素が数種類認められ,化学構造との相関を議論できた. 3.1性のビニローグ3)は長波長シフトが期待されるところから,この系の合成を試みた. 可視近赤外吸収スペクトルは予想通りの結果を示した. 4.2)を金属水素化物を作用させることによってロイコ型色素を合成した. 5.1),2)の系についてPPP MO計算を行い,吸収極大波長ならびに吸収強度を実測値と比較した. その結果,この種の色素エチノローグの光吸収に,陽電荷の非局在化が重要な役割を果していること,さらに寄与構造としてアレンキノイド構造を無視できないこと等が判った. 6.1),2)の系では近赤外領域に吸収を示すものについては,反射スペクトルの測定を計画している. 現在さらに色素系を開発中である.
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