研究概要 |
1.隕石を中心とする天然物質中の宇宙線生成核種についてAMSによる^<10>Be及び^<26>Alの測定を実施した。大気起源の^<10>Be及び^<14>CについてもAMSによる測定を継続した。試料中のBe,Al担体その他標的元素の定量は原子吸光法により行った。 2.特に上記の試料のうち石質隕石中の金属部の分離精製を行い所期の結果を得た。Fe,Niより生成した^<10>Be,^<26>Alを石質部よりのそれらと直接比較対照することが可能となった。各種の鉄隕石及びコンドライトの他、特殊例として石鉄隕石、Jilin隕石、月試料について適用を行った。その結果、コンドライトの石質部及び金属部の^<10>Beに対してはそれぞれ△A=8及び=18の生成物に対応した効果が認められた。 3.放射化分析法による鉄隕石中の^<45>Scについては成果をまとめて発表することができたが、^<107>Agについては未だ研究途上にあるといってよい。IVB群に分類されている鉄隕石に対しては、再現性よく0.1ppbAg以下に対応する^<110m>Agが検出されたが、それらは^<107>Agの検出に適した試料であることが示された。^<53>Mn測定の準備は進められたが具体的実施は1989年以降となった。 4.上記の成果をとりまとめて総合的な研究報告を発表することができた。統計的な処理により、広く石質及び鉄隕石中のすべての高エネルギー宇宙線生成核種の生成速度を系統化することができた。
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