研究概要 |
1.地質調査及び試料採集 秋田県横手市東方山地の地質調査を行ない, 泥質岩,凝灰岩を採集した. 新第三系は下位より真昼川層,小繁法層,山内層,相野々層(新称"南郷岳砂岩部層"を含む),新称"下ノ法層"及び花山層に分けられる. 特に,従来から黒法層として一括されていた地層は,相野々層上部と指交関係にある南郷岳砂岩部層と,これらを不整合に覆う下ノ法彦に分けられることが明らかになった. 2.室内分析 (1), 可溶性有機物:a)有機炭素量からみると,本地域の泥質岩類は石油根源評価のfair〜goodの範〓にある. b)Ni及びVoポルフィリンは,各々下位層に向かって増加する. c)ペリーレン/有機炭素比は下位層程小さくなる. d)抽出性有機物量は上位層から下位層へと順次増加する. e)プリスタン/ファイタン比は全層を同じて2以下であリ,堆積環境は還元的であったことを示している. f)これらの試料が石油発生論的に末熟成と判断されるにもかかわらず,nーアルカンCPIは,全層を通じて1程度である. また, その頻度分布パターンは4グループにまとめられ,nーアルカン組成は堆積有機物の初期組成を反映していることを暗示している. (2), ビトリナイト反射率(Ro):相野々層のRoは0.33%で,最下位の真昼川層でも0.48%であって,本地域の新第三系は末熟成であると判断される. (3), 沸石及び粘土鉱物:下位より,方沸石ー緑泥石帯(真昼川層),方沸石ーイライト帯(山内層下部),方沸石帯(山内層上部)及びモンモリロナイト帯に分けられる. 小繁法層については検討中である. Ro=0.3%程度の末熟成試料でも方沸石が既に出現している事は注目に値する.
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