研究概要 |
本研究は、油田新第三系を対象として、含有有機物、ビトリナイト反射率および変質鉱物の続成変化の関係を追求することを目的とした。横手市東方太平山南方地域の5ルートに発達する西黒沢系、女川系、船川系相当系から約130個の試料を採集し、室内分柝に供した。当初の計画に含まれていなかったロックエバル分柝を併せ行なった。得られた結果は次の如くである。 1.変質鉱物組成から、横手地域では、上位より、斜プチロル沸石帯、方沸石帯、濁沸石帯に分けられ、太平山地域では、同様にオパールCTーモルデン沸石帯、オパールCT帯、雲母ー緑泥石ー石英帯に分帯される。 2.太平山地域のビトリナイト反射率勾配は約0.5%/1000mであり、横手地域の約0.1%/1000mよりも高い。前者では女川系下部で石油発生のスレッシュホールドに入った可能性がある。 3.ビトリナイト反射率とロックエバルTmaxは地表試料を用いた場合でも良い相関を示すことが明らかとなった。 4.ケロジェンの型は、ロックエバル分柝の資料から、横手地域のものはI,II,IIーIII型であり、IIーIII、III型である太平山地域のものより石油生成に有利である。 5.石油根源岩評価では両地域の討料は共にgood以下である。 6.金広ポルフィリン、ペリーレンの含有量は共に各ルートで規則的な系位学的変化を示さず、供給有機物の質的差を反映していると考えられる。 7.nーアルカンcplは下位に向って減少せず続成作用の指標として画一的に使用できない。nーアルカン組成は多峰型であること、特に太平山地域では陸生植物に由来するC_<29>、C_<31>に特徴ずけられることから、供給有機物の組成を反映しているものとみられる。
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