研究課題/領域番号 |
62470045
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
地質学一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
多田 隆治 東京大学, 理学部, 助手 (30143366)
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研究分担者 |
角和 善隆 東京大学, 教養学部, 助手 (70124667)
渡部 芳夫 東京大学, 理学部, 助手 (70182962)
歌田 実 東京大学, 総合研究資料館, 助教授 (50012406)
飯島 東 東京大学, 理学部, 教授 (90011501)
松本 良 東京大学, 理学部, 講師 (40011762)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 有機炭素 / 続成過程 / 炭酸塩鉱物 / ガスハイドレイト / 酸素同位体組成 |
研究概要 |
本研究課題で遂行されたテーマは2つにまとめられる。第1は、堆積物中の有機物(有機炭素)含有量の変動要因の解明と、その地質学的意義である。堆積時の初生的違いと、続成過程における有機物の分解による変化という2つの測面から検討を加えた。薄層理と生物擾乱層の分布や、堆積物粒度の変動等の堆積学的パラメーターと、堆積物の主成分及び微量成分含有量等の地球化学的パラメーターと、有機物含有量の変動パターンを比較する事により、有機物の濃度・分散の機構が、かなりはっきりしてきた。詳細については別冊報告書及び昨年度未報告書に述べた。第2のテーマは、ガス・ハイドレイトの生成・分解と炭酸塩続成の関係である。海水由来のSO_4^±の存在する埋没続成過程初期に分解した有機物は、一般に^<13>Cに乏しい炭酸塩を生成し、この結果δ^<18>Cが-15〜-30〓(PDB)の、Mgに富んだカルサイトやドロマイトが生成される。しかし、埋没が進行して還元的になると、有機物は主にメタンになるため、共存する炭酸塩は^<13>Cに富み、この結果δ^<13>Cが-5〜+25〓で、Feに富んだカルサイトや、アンケライト、シデライトが生成する。堆積物中で発生する生物源メタンが増大すると、間隙水はついにメタンに関して過飽和状態となり、一定の温度・圧力条件下(水深にもよるが、ふつう海底下数百メートル以浅)では、このメタンは固体、氷状のメタン・ハイドレイトを作る。メタンハイドレイトは^<18>Oを選択的に取り込む。この結果、ハイドレイトの生成に伴って間隙水のδ^<18>Oは徐々に軽くなる。逆に、ハイドレイトが数百メートルの深度で分解すると、水のδ^<18>Oは急に増大する。また大量のメタンが堆積物に供給される。この結果メタンによる鉄の還元が進むと同時に、間隙水のアルカリ度が急増して、重い酸素に特徴づけられれた、Feを含む炭酸塩鉱物、特にシデライトが生成する。このような特徴を持つシデライトはハイドレイトの"化石"と考えられる。
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