研究概要 |
花こう岩風化殻の分析については,分析電顕と湿式分析の併用により,特に岡山県人形峠の花こう岩の分析を行った. その予報は西村が報告したが,長石,風化二次鋭物のバーミキュライト,モンキリロナイト,ハロイサイト/カオリナイトについて,精密な分析を行い,化学組成を決定し,それをもとに,これらを標準鉱物として風化ノルムの計算を行った. 更に密度測定を行うことにより,サプロライト(原組織の残る風化岩)の溶脱比を計算した. 各鉱物について溶脱比と二次生成とを求め,風化殻全体の溶脱と二次鉱化にかかる物質移動の状態を明確にした. 滋賀,岩手,静岡において,風化殻,凍結岩の弾性波探査により,岩盤の風化劣化についての基則性がわかり,古気候変化に伴う風化殻の発達の様子と,岩塩劣化のグレードに関する研究法の開発を行い, これをダム技術に投稿した. X線回折装置の設置後試験を重ね,精密分析の実用化を行った. 即ち人形峠花こう岩のK長石について,(060)と(204)のピークの微小変化からSiO_4ーAlO_4についての秩序度を測定した. この結果,從来ほとんど均質と思われいてた花こう岩中に,冷却メカニズムの違いと思われる何層かの構造があらわれ,これらは花こう岩化作用のメカニズムを解決する有力な手がかりとなることがわかり,次年度に継続する. 四因高縄半島においては,中央構造線をまたギ花こう岩と結晶片岩があるが,この風化裂と基盤との関係の調査研究により,中央構造線の発達,特に花こう岩浮上の過程が明確になり,浅部と深部花こう岩の風化を比較検討している.
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