研究概要 |
1.キンバーライトなど上部マントル起源岩石の高温高圧下での相平衡を研究するため,ピストンシリンダー型高圧発生装置を購入設置した. 実験に必要な他の付属的装置(スパーク溶接器,常圧高温炉)などの製作設置を行った. 圧力温度の補正のための予備的実験を行い,圧力は約45kb,温度は1500℃の範囲で,資料体積3mm×2mm×2mmで,製御が行われる事が明らかになった. 誤差は±0,5kb,±5℃とみつもられる. 現在カナダおよび南アフリカ産のキンバーライトについて,10〜45kbの圧力範囲で液相一固相両領域での相平衡を実験時に決定している. 2.カナダ,オンタリオ州に産出するキンバーライトの光石学的記載を行った. キンバーライトは現在まで考えられていた様な狭い鉱物学的岩石学的特徴をもつ岩石類ではなく,多様な幅広い特徴をもつことが明らかになった. これはマグマの成因のみではなく,分化プロセスに負うところが多いと考えられる. この結果は国際岩石学雑誌に印刷中である. 3.南アフリカ産の無斑晶キンバーライトについての実験結果を,カナダ,西オンタリオ大学のA,D,Edgar教授と共著で発表した. キンバーライトはマントル中のCO_2が濃集した交代作用を受けた物質の融解で生成した事が明らかになった. 低圧でのマグマの分化プロセスについても,多様なマグマを生成する重要なプロセスである事が明らかになった. 4.八ヶ岳に分布する安山岩類についての岩石化学的研究から,北南八ヶ岳火山は同一起源のマグマからの分化物である事が明らかになった. 5.下部地殻起源の高変成岩の岩石学的研究から,上部マントルと地殻の境界部における,物質の移動と変化について,重要な知見を得た. K,Rbなどの元素は,マグマの活動と変成作用では異なった動きを示し,下部地殻はRbやUに乏しい特徴をもつ可能性がある.
|