研究概要 |
1.雲母・スメクタイト規則混合層鉱物における膨張層のX線的性質 雲母・スメクタイト規則混合層鉱物は風乾状態で約25〓の長周期の底面反射を示す。この鉱物の膨張層であるスメクタイト層の化学組成はバイデライトとモンモリロナイトの間にありその比は約3:1以下で、膨張性はモンモリロナイトと同様であるとされて来た(Brown and Weir,1963;Matsuda,1984)。筆者は産出のまれと言われているバイデライトを長野県佐野鉱山より採取し、鉱物学的性質を検討した結果、化学組成はBlack Tack Mine産(理想組成に近い)のものに近いが、それよりやや膨張性の大きいことが判明した(Matsu.da,1988)。そこでろう石鉱床(岡山県三石、長野県佐野、山形県大峠)に産する雲母・スメクタイト4試料とパキスタン産試料および山形県月布産モンモリロナイト、長野県佐野鉱山産バイデライトを用いてそれらの膨張性をX線回析により比較検討した。その結果相対湿度80%(層間陽イオンCa)ではモンモリロナイトと同様な性質を示したが、相対湿度50%(層間陽イオンNa)ではモンモリロナイトより膨張性が小さく、佐野鉱山産バイデライトと同様な性質を示した。以上より雲母・スメクタイト規則混合層鉱物の膨張性はモンモリロナイトよりは明らかに小さく、バイデライトに近い性質を示すことが利明した。
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