研究概要 |
機能材料におけるレアアースメタルの果たす役割は極めて大きく, レアアースメタルを効果的に分離あるいは高純度化することは重要な課題である. これら分離,高純度化のための溶融塩利用での基礎的熱力学データはほとんどないのが現状である. レアアースメタルは電極電位値の差がほとんどなく単純な電解による分離は非常に困難である. 本研究では, 溶融塩中の錯体,配位子リーガントを利用して分離を行う目的で, レアアースメタルと同様電極電位の非常に近いジルコニウムとハフニウムの挙動を実験検討し, つづいてレアアースメタルとしてネオジウムとランタンの挙動を比較し次の結果を得た. 1.ZrとHfの塩化物ーフッ化物混合溶融塩中の電気化学挙動を比較した. 各々の還元電位はフッ化物イオンの増加にともない異方向に移行した. 溶融塩中でZrとHfはそれぞれZrCl_<6-x>Fx^<2->,HfCl_<6-x>Fx^<2->錯イオンとして存在した. 2.塩化物ーフッ化物混合溶融塩中におけるZrとHfの直接電解分離法,分離効果へのフッ化物イオン濃度の影響について検討した. 溶融塩中のフッ化物イオン濃度の調整と電解条件としてのカリード還元電位制御により, この混合溶融塩からの直接電解分離が可能であることが明らかとなった. この方法をマルチ化すれば, 高純度(Hfーfree)ジルコニウム生成が大変単純化されるものと考えられる. 3.1.2.の実験結果と同じ考え方によりLaとNd(レアーアースメタル)の溶融塩中の電気化学挙動を検討した結果, フッ化物イオンが同様の効果のあることがわかった. このように溶融塩中の錯イオン状態(フッ化物イオンあるいは塩化物イオン)により還元挙動の異なることが明らかとなった. 今後, 他のメタルへの応用について検討を進めるものである.
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