1.ベ-タアルミナ固体電解質のイオン交換について: 1)Ag^+ーβーAl_2O_3の作成について:ペレット状ならびに一端閉管チュ-ブ状のNa^+ーβーAl_2O_3を溶融AgNO_3中に浸漬することにより100%の交換率が得られた。しかしながら交換過程でクラックを生じ、とくにチュ-ブ状の場合は破損し、固体電解質としての使用はできなかった。 2)Ga^+ーβーAl_2O_3の作成について:ペレット状のNa^+ーβーAl_2O_3をつぎのようなセルを用いて電解することにより100%交換することができた。その他のイオン交換としてはPbCl_2vaporを用いてPb^<++>交換、CuCl(l)+Cu(s)を用いた電気分解反応を利用してCu^+交換、KClvaporを用いてK^+交換、一旦Ag^+交換した後LiCl+LiNO_3融体中に浸漬してL^+交換が行れることを確認した。 2.Ag^+ーβーAl_2O_3固体電解質を用いた起電力法によるAg合金の熱力学的研究:PbーAg/Ag^+ーβーAl_2O_3/Agなる電池の起電力測定結果からPbーAg合金中のAgの活量、その他各種熱力学的数値の決定を試みたが固体電解質にクラックを生じ平衡起電力値が得られなかった。 3.Ga^+ーβーAl_2O_3固体電解質を用いた起電力法によるGa合金の熱力学的研究:Ga+Sb/Ga^+ーβーAl_2O_3/Gaなる電池を構成し起電力測定実験を行なった。GaーSbの組成としては間化合物GaSbよりもGa richの固液共存2相領域部分の試料について実験した。得られたGaの活量値はRaoult則から負に偏侍しており、以前の研究結果と一致している。これによりGa^+ーβーAl_2O_3を固体電解質として用いたGa合金の熱力学的研究が可能であることが実証され、IIIーV化合物半導体材料の熱力学的性質の決定に有用であることが明らかにされた。
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