研究概要 |
電解質水溶液中の破加工対象であるセラミックと白金製対極をおき,加工電極を上部から液中にたて100gの荷重を加えてセラミック試片に押しつけると共に,加工電極と対極間に直流電圧を加える. (加工電極を負とする). 加工電極として当初直径5mmのニッケル丸棒で先端を円堆形に尖らせたものを使用したが, 損耗するば尖らしている意味がなくなること,放電部分をなるべく局減したいこと,酸中での耐食性を考慮したいこと,加工電極の発熱温度上昇に耐える耐熱性の要求されること,を考慮した0.8mmφの33%Ir(イリジウム)ー白金合金線を使用することにした. 電解質溶液について各濃度のHCl溶液ではアルミナ,SiCとも実用的加工速度はえられなかったので, 各種濃度のNaoH溶液において調査した結果をのべる. アルミナについて,100μm/30分以上の加工速度に必要な下限電圧は1N(4%)NaoH中で80V,0.1NNaoH中で230Vである. SiCの同様下限電圧は1NNaoH中で120V,0.01NNaoH中で230vであり, アルミナが高濃度で加工し易いのに対し,SiCは低濃度側で加工し易いと逆の傾向をもち, 0.1NNaoH中で最も加工速度が大きい. 溶液中イオン種をICP発光分析にて分析した結果, Al_2O_3(アルミナ)ではAlの溶出が認められず,バインダー成分(Ca,Si,Mg,Fe)のみを検出した. またSiCの場合はSiを検出した. これら結果と応査電顕による観察とを総合すると,アルミナでは主として粒界,SiCではSiC粒自体の侵食により加工が進行したと推定できる. 当初困難であったSiCの加工条件を見い出しえたことにより, 同様共有結合性のSi.ナ_<3.ニ>N.ナ_<4.ニ>等への適用可能性が高くなり, セラミック一般への応用が視野に入ってきた. 本法はこのままでも透過電顕観察用薄膜試件の作製に使って現法の所要時間短縮に寄与できる.
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