研究概要 |
光吸収と引続き起る無放射緩和により, 瞬間かつ局所的に物質内で熱が生じると, 熱膨張のため弾性波が生じる(光音響効果). ひとつのレーザー光パルスを二つに分け,物質中で交叉・干渉させた時, この光音響効果により, 光の干渉パターンの生成した領域にコヒーレントな超音波が発生する. このレーザー誘起格子(LIG)超音波の特徴は, 光学系と操作による, 超音波音波長・伝搬方向・発生位置を制御できることにある, この超音波からの光回析を検出することにより, 試料に対して非接触的に超音波計測を行い得る可能性がある. さらにパルスレーザー光を絞ることにより高空間分解能で計測が可能である. 我々はLIG超音波のプラズマ診断等への適用可能性を検討した. LIGの実験装置の概略を述べると, 励起レーザーパルス光(Nd:YAG第2高調波励起色素レーザー589nm,ビーム径750μm)は, 半透鏡ど等強度の2つの部分に分けられ, 試料フレーム中で交叉し, 干渉パターンを形づくる. CWHeーNeレーザー(径250μm)を超起パルス交叉領域に通し, 回析光のHを, 空間フィルタ,シャープカットフィルタ, 偏光フィルタで分離し, 光電子増倍管で検出する, 信号は広帯域アンプで増巾の後ストレージオシロスコープで過渡応答波形を取れ込み, コンピュータに転送して必要なデータ処理を行う. 測定はクレームとしてロウソク炎を用い, ロウソン炎中での音速を測定したところ852m/sとなった. 理想気体を仮定してロウソク炎の温度を算出すると1440℃となり,実測値1280℃と比較してまずまずの結果を得た. さらに, 超音波吸収スペクトルを測定したこころ, α/FacD12D2=35×10^<-14>cm^<-1>, S^2となり, 波長依存性は無い. このとき理論値は17×10^<-14>cm^<-1>, s^2であり, 妥当な値といえる. このように本研究では装置の組立てと予備実験を終えたところである.
|