研究課題/領域番号 |
62470060
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
阿竹 徹 東京工業大学, 工業材料研究所, 助教授 (30028229)
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研究分担者 |
伊藤 義孝 東京工業大学, 工業材料研究所, 助手 (70016822)
丸山 俊夫 東京工業大学, 工学部, 助教授 (20114895)
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キーワード | AgCrS_2 / CuCrS_2 / Ag_XCu_1_-_XCrS_2 / NaCrS_2 / 規則-不規則相転移 / 反強磁性相転移 |
研究概要 |
昨年度はAgCrS_2について、真空封入したガラス管内で高純度単体を反応させることにより良質な試料を合成し、インピーダンス測定、断熱型熱量計による低温熱容量測定および交流法による高温熱容量測定を行い、詳細な解析を行った。 本年度は、まず同様の手法で合成したCuCrS_2について行った熱容量測定の結果をもとに、AgCrS_2との詳細な比較検討を行った。両者とも約40Kに反強磁性相転移が存在し、広い温度範囲にわたって熱異常が現れ、これが弱い1次の相移転であることが明らかとなった。またこの相転移の転移エントロピーの値を得て、転移温度の低温側ではCr^3^+の磁気スピンはほぼ完全に規則化していることを示した。デバイ特性温度の考察により、CuCrS_2では室温付近ですでに非調和振動あるいは他の要因よる過剰の熱容量が存在することを見いだした。高温でのDTAを行い、Cuイオンの4配位サイト間での規則-不規則相転移が691Kに存在することを見いだした。この熱異常は低温側に大きな裾を引き、高温側では急激に減少する典型的な2次相転移の特徴を示しており、AgCrS_2と同じ機構の相転移であることが明らかとなった。相転移温度近傍で臨界指数に関する解析を行い、陽イオンの不定比性に起因すると考えられる熱異常のラウンディング現象を見いだした。またAg_XCu_1_-_XCrS_2について、DTAおよび粉末X線回析により相関係を調べ、室温では相分離しているが、高温では規則-不規則相転移温度付近で複雑な相関係を示し、さらに高温では完全固溶体になることを明らかにした。さらにNaCrS_2についても良質の試料合成を試み、Na_2S-S系フラックスを用いた単結晶合成法により満足できる試料を得た。粉末X線回析、DTA、熱容量測定を行い、これまでの結果と合わせて詳細な検討を行っている。
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