1.SiO_2スパッタ粒子の挙動 本研究では、SiO_2をターゲットとしてスパッタリングを行った場合の中性スパッタ粒子を質量分析計を用いて分析することにより、スパッタ粒子の組成を調べるとともにその形成過程を調べ、プラズマ中でのスパッタ粒子間の反応について考察した。SiO_2ターゲットをスパッタリングした場合、ターゲットから放出されるスパッタ粒子はSi、SiO、O、O_2であり、SiO_2やSi_2、(SiO)_nといったクラスター状の粒子は検出することができなかった。また、Siに対するSiOのマススペクトルの強度比が、酸素含有量の増加につれて増大していることから、プラズマ中でスパッタ粒子SiがO原子と反応してSiOが生成している可能性があると思われる。また、本実験で分析されたO_2は、O原子同士の反応によって生成したものと考えた。 2.GDMS法によるTeO_2スパッタ粒子の解析 グロー放電質量分析法(GDMS法)を用いることにより、二酸化テルルをスパッタした場合におけるスパッタ粒子の形状を酸素分圧の関数として調べた。スパッタリングガス中の酸素含有量は0%から100%まで変化した。二酸化テルルをスパッタした場合のイオン性の粒子は、O^+_2、Ar^+、Ar^+_2、Te^+、TeO^+、TeO^+_2であることが分かった。酸素分圧が増加するにつれて、Te^+、TeO^+、TeO^+_2のイオンの総量に対するTe^+の割合は減少した。一方、TeO^+とTeO^+_2の場合においては逆の傾向がみられた。スパッタ粒子から考えられる膜の組成と実際に得られた薄膜の組成を比較する目的で蛍光分析を用いた結果、スパッタ粒子は酸素と主に基板上で反応して膜を形成することが分かった。
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