研究概要 |
本研究の最終目的は、金属導電性を示すBaPbO_3セラミックスの粒界にBaTiO_3或いはPb(Fe,W)O_3等の強誘電体相を介在させたBL(粒界障壁)型超高誘電率材料の開発にあり、そのための基礎研究として以下の実験を行い、いくつかの重要な知見を得た。 1.BaPbO_3-TiO_2系粉体間の固相反応:各種条件下での固相反応により、BaTiO_3及びPbTiO_3の相が生成することを熱分析及びX線回折によって確認した。 2.BaPbO_3-TiO_2系セラミックスの接合及び界面での相分析:BaPbO_3及びTiO_2セラミックスの表面を鏡面研磨したものを加圧下、1000℃で加熱接合させ、密着度の良好な接合体を得た。XMA分析により、その界面にBaTiO_3及びPbTiO_3の相が積層状に生成していることが分かった。 3.BaPbO_3セラミックスの組織に及ぼす不純物の添加効果:BaPbO_3に約20種の金属酸化物を添加し、その組織(粒径、焼結密度)に及ぼす効果について調べた。その結果、ZnO,CuO及びNiOのみがBaPbO_3セラミックスの粒成長を促進し、これらの物質の添加はBLコンデンサ材料の製造に適した組織をもつセラミックスの調製に有効であることが判明した。 4.SrTiO_3-Pb(Fe,W)O_3系BLコンデンサ材料の製造:現時点でBaPbO_3セラミックスを用いたBLコンデンサ材料の製造には成功していないが、マトリックスにSrTiO_3半導体セラミックスを用い、その粒界にPb(Fe_<2/3>W_<1/3>)O_3強誘電体を介在させたBLコンデンサ材料の製造に初めて成功した。この材料の誘電率は、室温、1kHzで15万、誘電損失<5%程度であり、誘電率は十分に高いが、その温度特性及び誘電損失の改善を行う必要がある。しかしながら、この研究成果により、目的とする超高誘電率材料の製造の可能性が確められたと言える。
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