1.マイクロ波放電を利用してメタンを分解することによってダイヤモンドを析出させる際に、水素以外の気体をメタンの希釈気体に用いた場合にも水素を用いた場合と同様にダイヤモンドが析出することが期待される。準安定エネルギ-の低い種々の希ガス(アルゴン、クリプトンおよびキセノン)のダイヤモンド析出におけるメタンの希釈気体としての効果を検討した。その際にプラズマ中にはそれぞれの気体の準安定状態原子が生成され、これの衝突によってプラズマ中に種々の状態の炭素を含むラジカルが生成され、その結果として種々の炭素膜が析出することが見出された。 2.アルゴンプラズマジェットによってメタンを分解してダイヤモンドを析出させる際にもメタンを水素で希釈することが必要であることが見出されているが、この際に析出基板の相違によって析出物が著しく異なることが見出された。即ち、水素の溶解度の高いチタン基板上には非晶質炭素が析出し、水素溶解度の低いモリブデン上にはダイヤモンドの析出が認められた。 3.ECRプラズマ装置を用いた炭素質膜の析出において、透明で半導性の膜の析出が認められた。この膜は三次元橋かけ構造を有するポリマ-中に黒鉛の微結晶が分散したものであり、ラジカル反応によって生成された三次元ポリマ-中に放電管の半径方向における電位分布によって加速された炭素イオンがグラファイトとして分散析出したものと推測した。
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