研究概要 |
本研究は、径が数μmの極微小電極を作製し、さらに、μsecオーダーの電気化学的超高速パルス測定装置を作製しこれを用いてこの界面で起こる電荷移動反応および物質移動を定量的に評価することを目的に行われている。さらに、この極微小電極表面を化学修飾し、この界面で起こる電荷移動を評価し機能性電極の開発を行う。本年度は、直径5.2μmの導電性炭素繊維でできた電極の作製に成功し、この電極を用いて溶存基質としてFe(CN)^<4-13->_6 、W(CN)^<4-13->_8 、IrCl^<3-14->_6 、Os(CN)^<4-13->_6を用いてボルタンメトリーの測定を行いその電流-電位曲線の挙動を調べた。さらに高速の電位掃引器および高速のポテンシオスタットを作製し、5Vs^<-1>から50,000Vs^<-1>までの速度範囲で電位掃引が可能な超高速のボルタンメトリーを確立した。上記の極微小電極と超高速ボルタンメトリーとを組み合わせることにより、非常に速いため測定が困難であった測定系の電極反応速度定数を比較的安易に測定できることを見い出した。O-フェニレンジアミンのレドックス活性な電解重合薄膜を微小電極上に被覆させ、その電流-電位曲線の挙動を調べた。また、コバルト・ポルフィリン電解重合膜被覆微小電極を作製しO_2還元反応に対する触媒能を調べた。この電極で得られるサイクリックボルタモグラム(CV)は遅い電位掃引ではS字形となり、限界電流値(i lin)は溶存種の濃度に比例した。速い電位掃引速度を用いた時得られるCVは、大きい面積の電極でかつ遅い電位掃引で得られる通常のピーク電流値をもつ形と同じになった。さらに、このポルフィリン薄膜上に固定化酵素膜を積層化し、アンペロメトリック微小酵素センサを作製すると1〜2秒で99%応答を示す高速センサとして作動することを見出した。
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