研究概要 |
本研究は、径が数μmの極微小電極を作製し、さらに、μsecオーダーの電気化学的超高速パルス測定装置を作製しこれを用いて、この界面で起こる電荷移動反応および物質移動を定量的に評価することさらに、この極微小電極表面を化学修飾し、この界面で起こる電荷移動を評価し機能性電極の開発を行うことを目的に行われた。62年度は、直径52μmの導電性炭素繊維でできた電極の作製に成功し、さらに、高速の電位掃引器および高速のポテンシォスタットを作製し、5Vs^<-1>から50,000Vs^<-1>までの速度範囲で電位掃引が可能な超高速のボルタンメトリーを確立した。上記の極微小電極と超高速ボルタンメトリーとを組み合わせることにより、非常に速いため測定が困難であった測定系(溶存基質:Fe(CN)^<4-/3->_6、W(CN)^<4-/3->_8、Mo(CN)^<4-/3->_8、IrCl^<3-/4->_6,Os(CN)^<4-/3->_6の各錯体)の電極反応速度定数を比較的安易に測定できることを見い出した。上記錯体を固定した薄膜被覆電極を作製し、電気化学的パルス法により電荷移動反応の解析を行い、関連の速度論的および熱力学的パラメータの値を求めた。oーフェニレンジアミンのレドックス活性な電解重合薄膜を微小電極上に被覆させ、その電流ー電位曲線の挙動を調べた。また、コバルト・ポルフィリン電解重合膜被覆微小電極を作製しO_2還元反応に対する触媒能を調べた。この電極で得られるサイクリックボルタモグラム(CV)は遅い電位掃引ではS字形となり、限界電流値(i lim)は溶存種の濃度に比例した。速い電位掃引速度を用いた時得られるCVは、大きい面積の電極でかつ遅い電位掃引で得られる通常のピーク電流値をもつ形と同じになった。さらに、このポルフィリン薄膜上に固定化酵素膜を積層化し、アンペロメトリック微小酵素センサを作製すると1〜2秒で99%応答を示す高速センサとして作動することを見い出した。
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