研究課題/領域番号 |
62470078
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
二木 鋭雄 東京大学, 工学部, 教授 (20011033)
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研究分担者 |
土屋 順一 東京大学, 工学部, 助手 (40011051)
山本 順寛 東京大学, 工学部, 助手 (60134475)
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キーワード | 抗酸化剤 / 自動酸化 / ラジカル / ビタミンE / ビタミンC / 芳香族アミン / 脂質過酸化 |
研究概要 |
高度不飽和脂肪酸のリノール酸とそのエステル,大豆ホスファチジルコリンなどのリン脂質の酸化速度、および赤血球膜、全血の酸化とそれによる傷害を定量的に測定する方法を改良、確立した。さらに、種々の抗酸化剤の定量法についても改善を行なった。スピンラベル法を用い、ビタミンEなど、脂溶性抗酸化剤がリポソーム膜、赤血球膜などでどのように挙動し、抗酸化作用を発現するかについて検討した。その結果、ビタミンEは膜内の脂質ラジカルを捕捉する唯一のものとして重要な作用をすることを確認したが、一方、膜の表面近くのラジカルは速やかに効率よく捕捉するのに対して、膜の内部になるほど、ラジカル捕捉速度が低下すること、そして、均一溶液中に比して膜内での抗酸化活性は低下することを実験的に明らかにした。赤血球のラジカル酸化による溶血に対しても、赤血球膜中のビタミンEが強力な抑制効果をもつことを明らかにした。特に、他の抗酸化剤がかなり高濃度必要とするのに対して、膜中のビタミンEは極めて低濃度でも有効に作用することを認めた。その他アスコルビン酵素導体、水溶性のジフェニルアミン誘導体など、いくつかの新規化合物の抗酸化活性を検討した。ジフェニルアミン類については、核置換基について顕著な極性効果を認めた。血清中の抗酸化剤、すなわち、ビタミンC、尿酸、ビリルビンなどの抗酸化作用についても検討した。これらはいずれも水溶性抗酸化剤として作用し、血液の酸化的傷害を抑制することを確認した。相剰的抗酸化作用についても検討した。これまでのところ、システイン、グルタチオン、尿酸の、ビタミンEの抗酸化作用に対する相剰効果は小さく、ビタミンCだけが際立って大きい相剰効果を示すことを認めている。
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