研究概要 |
高分子界面活性剤としての両親媒性グラフトポリマーの構造を規制する要因を明らかにするためマクロモノマーの共重合反応性を検討した. 末端メタクリル型ポリスチレンマクロモノマーとスチレンやレタクリル酸メチルとの共重合では, ベンゼンのような良溶媒中の場合ランダム共重合が起こり, モノマー反応性比は低分子間の値と等しく,立体効果と認められない. 従ってマクロモノマーの分子量が一万程度では排除体積効果は無視できる. しかしシクロヘキサンのような貧溶番中の場合マクロモノマーの反応性比が低下し, グラフトポリマーの組成分布が広がり, ホモポリマーも副生する. コモノマーにメタクリル酸のような極性モノマーを用いると重合が不均一系になり, この傾向と更に著しくなる. この結果混合溶媒を用いて均一系に保った最適合成法を確立した. シリコン系マクロモノマーにもこの結果を応用して重合条件の選択法を検討した. つぎに高分子界面活性剤のミセル形成について研究するため, メタクリル酸メチルマクロモノマーとメタクリル酸とから構造の明確なグラフトポリマーを合成し, 溶液性状について検討した. 従来の常識に反しグラフトポリマーの水溶液粘度は対応するランダム共重合体と比較して10倍も大きい. またこの水溶液は油溶性染料の可溶化力が大きく, 疎水基の凝集を示している. 重水中の核磁気共鳴スペクトルも会合によるピークの広がりを示す. グラフトの枝をメタクリル酸ブチルやドデシルに替えても還元粘度や可溶化量は殆ど変化せず, 疎水結合の特徴を示している. 可溶化染料の柴外線吸収の長波長シフトからミセルにかなり極性の環境が存在すると考えられる. このようなミセル形成に基ずく構造粘性の発現な応用が広いと考えられる. またスチレンーメタクリル酸系グラフトポリマーについて接触佐測定による表面自由エネルギーの求め方を検討し, 親水性の表面を形成しいてることを証明した.
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