研究課題/領域番号 |
62470080
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研究種目 |
一般研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
有機工業化学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山下 雄也 名古屋大学, 工学部, 教授 (10022980)
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研究分担者 |
塚原 安久 名古屋大学, 工学部, 助手 (20135312)
川上 雄資 名古屋大学, 工学部, 助教授 (80109280)
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研究期間 (年度) |
1987 – 1988
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キーワード | 界面活性剤 / グラフトポリマー / マクロモノマー / ハイドロゲル / ミセル |
研究概要 |
両親媒性グラフトポリマーは高分子活性剤として興味があり、マクロモノマー法により合成できる。構造の明確な櫛型グラフトポリマーを分子量分布及び組成分布を狭く合成するためマクロモノマーの重合性を検討した。単独重合では高分子量のため拡散律速停止が有効に働き、分子量100万の多分岐ポリマーが重合初期から生成し、共重合では異種ポリマー鎖間の相分離に基づくマクロモノマーの反応性の低下が起こり易く重合溶媒の選択に注意することが強調される。櫛型グラフトポリマーの界面活性については、表面吸着状態の電子顕微鏡写真によりミクロ相分離したドメイン構造が確認され、表面析出機構の妥当性が示された。高分子活性剤のミセル形成と表面吸着について研究を進めるため水溶性グラフトポリマーを合成し溶液物性を評価した。枝が疎水性のメタクリレートで幹が親水性のメタクリル酸よりなるグラフフトポリマーの水溶液粘度の測定結果は同一分子量、組成のランダムポリマーに比し10倍も高粘度で、ミセル形成を示唆しているが、疎水性染料の可溶化データもメタクリレートが疎水基会合している事を示している。同様な疎水基の会合は親水性グラフトのハイドロゲル生成にも見られる。ポリスチレンマクロモノマーと親水性コモノマーとの共重合によるグラフトを親水性溶液から製膜すると透明なフィルムが得られ、水中で膨潤できる。その膨潤挙動、酸素透過挙動などの基本的性質はグラフトポリマーの一次構造や製膜溶媒に支配される。ハイドロゲルの平衡膨潤度や含水率は、疎水性基の重量分率に関係するが、隣接枝間の平均分子量を規準とした平衡膨潤理論に従っている。製膜溶媒をより親水性とすると疎水性ドメインが拡大して膨潤度も増加する。親水基として水酸基以外のカルボン酸基、スルホン酸基のいずれを用いても良好なハイドロゲルを形成し、優れた酸素透過性、生体適合性を示すと共に力学的強度の向上を示した。
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