研究課題/領域番号 |
62470083
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
干鯛 真信 東京大学, 工学部, 教授 (60011011)
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研究分担者 |
溝部 裕司 東京大学, 工学部, 助手 (40175609)
矢野 重信 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60011186)
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キーワード | 架橋チオラ-ト錯体 / ルテニウム二核錯体 / 遷移金属スルフィド / キュバンクラスタ- / 金属-硫黄ポリマ- |
研究概要 |
1.前年度までにRu源として〔Cp^※Rucl _2l_2(Cp^※=η^5-C_5Me_5)、硫黄源としてArSH(Ar=アリ-ル)、RSSiMe(R=アルキル)を用いることにより二核Ru(III)錯体〔Cp^※_2-Ru_2(SAr)_3Lcl 、〔Cp^※_2Ru_2Cl_2(SR)_2lが生成することを報告し、NaSR(R=アルキル、フェニル)を反応させると、Ru(II)-Ru(III)を含む常磁性二核錯体〔Cp^※_2Ru_2(SR)_3〕が得られることも見出していた。今回この常磁性錯体のR=i-Prの場合につきX線構造解析に成功し、三つの架橋チオラ-ト配位子を有する二核構造の詳細が明らかになった。この常磁性二核錯体はCOやt-BuNCと容易に反応し、やはり常磁性の二核錯体〔Cp^※Ru(S-i-Pr)(μ-S-i-Pr)_2RuCp^※(L)〕(L=CO,t-BuNC)を、また水素との反応では反磁性の二核ヒドリド錯体〔Cp^※RuH(μ-S-i-Pr)_2RuCp^※H〕を与え、後者についてはやはりX線解析により構造を明らかにした。一方、大過剰のNaS-i-Prと〔Cp^※RuCl_2〕_2との反応では常磁性のRu(II)錯体〔Cp^※_2Ru_2(S-i-Pr)_2〕が得られることも見出しており、その詳細は現在検討中である。 2.不完全キュバン型モリブデン-硫黄クラスタ-〔Mo_3S_4(H_2O)_9〕^<4+>とPb金属を塩酸酸性水溶液中で反応させることにより、新規なPb-Mo-Sクラスタ-〔Pb_2Mo_6S_8(H_2O)_<18>〕^<8+>を単離することができた。アニオンとしてOTs-を含むものについてX線構造解析に成功し、本クラスタ-が二つのPb-S結合によって架橋した〔PdMo_3S_4〕コアを有するダブルキュバン型構造であることを明らかにした。本クラスタ-はメタノ-ル中ですみやかにオレフィンをとりこみ、その付加体を生成し、また反応は遅いもののアセチレンとも反応して同様の生成物を与えた。 3.鉄-硫黄クラスタ-[Fe_4S_4(S-t-Bu)_4〕^<2->、ルテニウム-硫黄二核錯体〔Cp^※Ru-Cl_2〕_2とP-またはm-ベンゼンジチオ-ルを反応させることにより、〔Fe_4S_4〕^<2+>および〔Cp^※_2Ru_2〕^<4+>骨格がベンゼンジチオラ-トにより連結されたポリマ-を合成し、その粉末を圧縮成型することにより導電性の検討を行ない、これらが半導体領域に対応する導電率を有することが明らかになった。
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