研究概要 |
多官能ピリジン系複素環は高機能性物質やその合成原料として重要であり、ビリジン環への効率的な官能基導入法および官能基を活用する化学変換法の開発が切望されている。このような観点から本研究では多様な反応性を有するエチニル基導入のための新反応の開拓と、得られたエチニルピリジンの官能基変換について系統的に検討を加え、以下のような成果をあげた。 1.ピリジンN-オキシドのReissert-Henze塩に銀アセチリドを求核攻撃させることにより、ピリジンの直接エチニル化反応を開拓した。 2.本反応が種々の置換アセチリドやピリジン類縁体を用いても進行することより、反応の適用限界が十分に広いものであることを明らかにした。 3.反応性の高いアセチル基等の置換基を有するピリジンにも適用が可能で、多数の新規な二官能性ピリジンの合成に成功した。 4.3-置換ピリジンのエチニル化では2,3ージ置換体が優先して生成するという興味ある事実を見出し、反応条件による位置選択性の変化を明らかにした。 5.エチニル基の水和反応により種々のフェナシルピクジンを合成し、それらのキノリノール誘導体への変換法を見出した。 6.3位に反応性官能基を有するエチニルピリジンを原料とする種々のビシクロピリジンの簡便合成法を開発した。例えばピロロピリジンやフロピリジンが一段階で容易に合成することが可能である。 7.エチニルピリジンとアセチレンジカルボン酸ジメチルとの反応によるインドリジン環の新合成法を確立した。 以上のように本研究ではピリジン環に直接しかも置換の様式でエチニル基を導入する新反応を開発し、生成したエチニルピリジンの官能基変換により種々の多官能ピリジン系複素環の合成法を多数明らかにした。
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