フェニルエチニルポリシランのニッケル錯体触媒反応、特に2ーメシチルー2ーフェニルエチニルヘキサメチルトリシラン(1)のニッケル触媒によるシレンへの異性化とその後のメシチル基のCーH活性化反応についての知見を得る目的で2ーフェニルエチニルー2ー(Oートリル)ヘキサメチルトリシラン(2)を合成し、そのニッケル触媒反応を行った。フェニルトリメチルシリルアセチレン(3)を捕捉剤として添加して200℃で反応を行いシラプロパジエンの発生を確認した。次に3の不存在下で反応を行ったところその反応は温度によって大きな影響をうけることがわかった。すなわち、200℃では2のケイ素上の一つのトリメチルシリル基がエチニル上のフェニル基と入れかわったトリメチルシリルエチニルジシラン(4)が、220℃では4とともにトリル基のCーH結合の活性化による生成物であるベンゾジシラシクロヘキセン誘導体(5)が、260℃では5は全く生成せず4とともにトリメチルシリル基のCーH結合が活性化されて得られたと考えられるジシラシクロペンテン誘導体(6)が得られた。4、5、6の生成物はすべてシラプロパジエンからの異性化と考えられるが、6はシラプロパジエンがさらにシリレン錯体に異性化し、つにでCーH結合のニッケルによる活性化がおこったと考えるのが最も妥当であり、全く新しい形成の反応である。 次に、1、2の鉄およびルテニウム触媒反応を行った。1又は2をジクロロビス(トリフェニルホスフィン)鉄又はルテニウム触媒存在下200℃に加熱すると6が主生成物として得られた。6は前述のニッケル触媒反応の際と同様にシリレン錯体からの生成物と考えられるのが、このことを確める目的でヒドロシラン存在下での反応を行い相当するシリレンを捕捉することに成功した。 以上、シラプロパジエン錯体シリレン錯体の新しい知見が得られた。
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